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第七話「ヒート!!」


地面を凄まじいスピードで駆け抜ける影が月夜に照らされている。
それは、私だ。
なんとかさっきの状況から逃げ出すために、前にハカセ達に頼んでおいた高速スケートボードが役に立った。
私は、小さい時から趣味でスケートボードをやっていて腕には自信があった。
「まさか、こんなことで役に立つとは。」
それが良いことなのか悪いことか分からないが、今の所は吸血鬼が追ってくる様子はない。
「海里さん、アレ!?」
後ろにしがみついていたのどかが前方に何かを発見したように驚いている。
私は目を凝らし前方をみつめると、なぜか後ろにいるはずだった吸血鬼がたたずんでいる。
「な、なんで!?」
私は急ブレーキをかけて、十分に間合いを置き吸血鬼の前に佇む。
すると吸血鬼は待っていたかのように口を開いた。
「フッ、いっただろう。 強硬手段に出ると。」
吸血鬼はそう言うと片手を掲げて何かをブツブツと言っている。
「?」
私はその状況をしばらく見つめていると風に乗って吸血鬼の言っている言葉に聞き覚えがあることに気がつき、ボードに改めて乗り発進しようと刷るが。
「ちょっと気がつきくのが遅かったな!!」
吸血鬼の回りには冷気で満ち溢れいくつかの光玉が浮かんでいる。
私が動作を取ると同時に吸血鬼は手を私の方へ向け「呪文」を言い放つ!!
「魔法の射手!! 連弾・氷の5矢!!」
氷の弾丸が私達に迫り来る、のんびり考えている暇無い!!
「のどか!! しっかり掴まって!!」
私は言いながらボードのボタンを踏み込もうとするが・・・
「えっ!?」
のどかはあまりの急展開についていけなかったらしく、その場で硬直している。
しかし、そんな事は吸血鬼の知ったことではない。
このままではのどかは串刺しだ!!
私は身を徹してのどかを庇おうと体を傾けた瞬間。
「レジストMAX!!」
ガラスを破る音と共に私がよく知っている魔法使いが目の前に立っていた。
普段は頼りなさそうなのにこの場に置いては私よりも大人でカッコよく見える。
ネギ君の抵抗により迫りくっていた氷の弾丸は消えうせ、白い霧が立ち込めていた。
「大丈夫ですか!! のどかさんに海里さん!!」
ネギ君は振り返りもせずに私達に話しかけている。
それほど油断のならない状況なのだろう。
それにもかかわらず、私達に声を掛けるあたりしっかり先生だなーと思う。
「ええ、私は大丈夫。 だけど、のどかはさっきので気絶しちゃった見たい。」
私は腕の中でぐったりしているのどかを見ながらネギ君に伝える。
「それなら海里さん、のどかさんを連れて逃げてください!! ここの結界は解除しました。」
ネギ君はそう言いきると、白い霧の中へと飛びこみ消えていった。
「まって、私もいくわよ!!」
と、飛び出そうとした瞬間後方からアスナと木乃香の声が聞こえた。
「海里ー!! 大丈夫ー!!」
「のどかー!! 大丈夫かえー!!」
私は内心ホッとしてアスナ達の声に答えるように返事をする。
「大丈夫ー!! けど、のどかがー!!」
私の声を聞き取ったのかアスナ達は白い霧の中から現われる。
が、私達のボロボロな状況をみて表情が凍っていく。
「海里!! どうしたのその傷!?」
「わわわっ!! のどかもなんでぐったりしとるん!!」



私は今ネギ君が通ったであろう道をアスナと共に激走している。
あの後、大体の事情を説明したあとのどかを木乃香に任せ私とアスナはネギ君のあとを追っているのだ。
アスナを後方に乗せ私はスケボーに乗り最大加速でネギ君との距離を縮めようとしていた。
「あんたねー!! こんなスゴイのいつ作ってもらったのよー!!」
風速で声も普通の大きさでは聞こえないので後ろのアスナは叫んで喋っている。
「まあねー♪ まあ、こっちのことはネギ君を見つけてからでってことで!!」
と言って私は更にスピードを上げる。
しばらく経つと路地に着き、行き止まりになる。
仕方なく私は止まることにしてアスナもボードから下りてあたりを見まわす。
「あっちゃー、完全に見失ってるわね。 ねえ、海里本当にこっちの方向で合ってるの?」
アスナが当りを睨みつけるように再度見まわすが何も見えないらしく私に方向が合っているの聞きなおす。
「ええ、多分こっちであっているはずなんだけど・・・。」
私も当りを見まわし始めると。
「・・・うぐぐぐーー!!」
探し人の声が頭上から響き、来ていた上着がヒラリと落ちてくる。
「「屋上!!」」
同じに私達は上を向き目を合わせうなずく。
すると、アスナは建物の入り口に向かおうとするがそれを止め
「アスナ!! 私のスケボーの方が早いわよ!!」
とウィンクして見せる。
後方にしがみついたアスナはしばし不安そうな顔をしている。
「大丈夫よ、私の腕を信じなさい。 あとそれと屋上に着いた瞬間アスナは降りてネギ君の救出を、私は空中姿勢制御で無理だから。」
「ほ、ホントに頼むわよ!!」
アスナが叫び終わると私はボードのボタンを押す。
ボードは一機に加速をつけ、垂直の壁を物の見事に走っていく。
さ、流石の私もこれだけの長い垂直の壁を登るのは初めてだが、自分の腕とハカセ達の腕を信じるしかない!!
ほんの数秒で屋上が見えてくる。
「アスナ!! 後は頼んだわよ!!」
私は振り向きもしないでアスナに頼みの声を掛ける。
「まっかせて!! そう簡単に家の居候は殺させないわよ!!」
その言葉が、交わされ終わると同じに屋上を通りこし空中を見事に舞う。
私は着地場所を探しつつ、ネギ君の様子を確認しようとする。
アスナは無事飛び出し、吸血鬼と・・・あれ?
同じクラスメイトである、茶々丸さんへと飛びかかっている。
それが失敗だと気がついたのは屋根にぶつかる寸前だった。
私は不覚にも知り合いが吸血鬼の仲間だったのか!? と言う疑問に捕らわれ、着地場所を確認できずに地面へと叩きつけられようとしている。
「わわっ!! タンマーーー!!」
私の叫び声も虚しく私の意識はそこで消えうせるのであった。
確か消えうせる瞬間、ネギ君がアスナへと抱き着いているのがみえて私は「よかった。」と心中で思い。
綺麗サッパリ気絶した。



別談
私はなんとか吸血鬼らしいエヴァちゃんとその仲間?の茶々丸さんの撃退に成功してネギの救出に成功した。
ネギは首回りの血を僅かだが吸われたらしく、シクシクとしがみついて気絶している。
「ふう、まったくガキのクセに・・・」
と言葉を続けようとした瞬間後方で海里の声が聞こえ。
「わわわっ!! タンマーーー!!」
その声と共にかなりの音がしたので驚いて振りかえると海里が目を回して気絶していた。
「わっ!! 海里!! 大丈夫!!」
この日結局私は二人を抱えて寮に戻ることとなった。


第七話「ヒート!!」完